2019流行語大賞、海外の人には何て伝える? 〜英語・中国語・韓国語で翻訳してみた〜


2020年が始まり1ヶ月が経ちました。今年はますます訪日外国人の増加が期待される中、多言語対応の改善・強化を図っていくことが求められています。

「翻訳には正解がない」と言われているとおり、誰にどのようなニュアンスで伝えるかによって、使う単語や表現が変わってきます。特に、日本の文化や慣習に基づいた日本独自の言葉を翻訳する時、皆さんも頭を使われるのではないでしょうか?

今回は一例として、記憶にも新しい「2019年の流行語大賞※1」の中からいくつか抜粋し、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の4つの言語で翻訳してみました。

 

■年間大賞 「ONE TEAM」

アイルランド、サモア、スコットランドを撃破し、大いに盛り上がったラグビーワールドカップ。日本代表チームはラグビー史上初の決勝トーナメント進出を決めました。

7カ国、15人の海外出身選手を含むチームを一致団結させた、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが掲げたテーマ「ONE TEAM」。まずはこの言葉を翻訳してみましょう。

 

  • 英語・簡体字・繁体字・韓国語 「ONE TEAM」

1995年の南アフリカ大会にて、南アフリカ代表チームが掲げたスローガン「ONE TEAM, ONE COUNTRY」(一つのチーム、一つの国)が「ONE TEAM」の元祖だとされており、世界に「ONE TEAM」という言葉が広まったきっかけになったと言われています。

1995年の大会は、アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後の自国開催で、南アフリカが初出場・初優勝を飾るという歴史的大会となり、「ONE TEAM, ONE COUNTRY」のチームスローガンは国内外で脚光を浴びました。

後にこの奇跡の実話は2009年にアメリカで「インビクタス/負けざる者たち」として映画化され、更に広く知られることになり「ONE TEAM」は世界共通の言葉といっていいかもしれません。

 

しかし英語で「ONE TEAM」は日常的に用いられる言葉ではありません。こういったスローガンは、ワードではなく「We are one team.」のようにフレーズで使われることが一般的です。また、「team」という単語からスポーツに関することと連想できます。

中国において「ONE TEAM」は、意味は理解できるけど説明文書がないとイメージが湧きづらい部分があります。簡体字でチームワークは「团结一心」と表記します。

韓国では、英語表記で意味が理解できるそうです。

 

■TOP10入り 「計画運休」

2019年秋、超大型台風が相次いで日本列島を直撃しました。気象庁は「自分や大切な人の命を守るため、早めの対策を」と呼び掛け、鉄道各社は「計画運休」を実施しました。

リアルタイムに運行情報を多言語で発信している日本の鉄道各社も多く、そこでも以下のように翻訳されています。

●英語 「Planned Suspensions」
「Planned Suspensions」という言葉自体は鉄道に限らず、前もって計画的に休むことを指します。実際のお店やビル・学校などは「Closed for the typhoon」のように「Close」を使い、サービスに対しては「Suspensions」を使います。

●簡体字「计划性停运」 
●繁体字「計劃性停運」
中国語圏でも災害時は、鉄道だけでなく仕事や学校も計画的に休みになることがあります。

●韓国語「계획운휴」
韓国では災害よりもストライキなどで運行中止となる場合があります。その際は「운행 중단」が使われます。

■TOP10入り 「軽減税率」

2019年10月、消費税率が8%から10%に引き上げられました。この引き上げに伴う経過措置として「軽減税率」が適用されました。消費者にとって複雑で分かりにくい制度ですが、元々欧州をはじめ海外では導入されている国も多く、「軽減税率」の対象も国によって異なります。

そもそも国によっては、物やサービスによって消費税率が異なるというシステムが普通で、「軽減税率」という言葉自体が存在し広く認知されている、というわけではないようです。

●英語 「Reduced Tax Rates」
EUにおいて日本の消費税に相当する税は、英語で「VAT(Value Add Tax)」と呼ばれる「付加価値税」になります。日本と比較して消費税(=付加価値税 / VAT)の税率が高いイギリスやフランスやドイツといったヨーロッパ諸国では、この「軽減税率」が採用されています。

税率の高い国として挙げられるハンガリーは、標準税率は27%で軽減税率として穀物や小麦などを使用した製品や商業宿泊施設などは18%、牛乳、卵、鶏肉類や豚肉などの食品や医療品、本などは5%となっています。
2015年にはEU加盟国28カ国中21カ国で軽減税率が適用されていますが、区分けや税率は各国で違いがあります。

アメリカでは消費税は「Sales tax」や「consumption tax」と言われ、州によって税率も異なり、新学期の時期は衣料品が非課税になったり、朝だけコーヒーが非課税になったりすることもあります。

さて、これまで「日本の軽減税率は複雑だ」と思っていた方も、州によって税率が変わり、商品や季節や時間によっても税率が変わるアメリカの軽減税率を知ると「日本の複雑さはそれほどでもない」と思われるのではないでしょうか?

●簡体字「轻减税率」
中国には商品、サービスに付く間接税の増値税と消費税があり、増値税は利益につく税で一般消費者にはあまり実感がありません。
消費税の課税対象は主に高級品、健康被害の恐れがあるもの、環境被害の恐れがあるものに課されており、その目的は産業構造を調節すること、消費者を誘導することにあります。例として挙げられるのが、タバコや酒、ジュエリー、割り箸、クルーザーなどです。

●繁体字「減輕稅率」
台湾の消費税にあたる税金は「営業税」と呼ばれており(VAT/ 付加価値税にあたる)、税率は5%と世界でもトップクラスに低いです。
台湾国内にて販売される物品やサービスが課税対象で、仕組みは内税方式となっており、消費者は税込みで総額表示された価格を支払うことになります。

●韓国語「경감세율」
水産物など加工されていない商品に限って税金が軽減されることがあります。
日本のような何%で違いを出すのではなく、農水産物、非加工食料品などの免税品目に限って10%の付加価値税がなしになります。
基本的に税込み価格表示なので消費税をあまり意識していないようです。

2019年10月からの増税措置では、食品は8%、それ以外が10%と表示価格が複雑になり、また持ち帰りとイートインで税率が変わるなど、私達日本人でも混乱する状況下で、在留外国人の方は「軽減税率」について理解しているのか?という疑問が生じ、WOVN.ioでは4言語で増税マニュアルを作成しました。
そちらも合わせて確認すると、より理解が深まるかもしれません。

 

■TOP10入り 「タピる」 

2019年は、タピオカドリンクが空前のブームを迎えました。「タピる」とは、タピオカ入りのドリンクを飲む、タピオカを食べるという一連の行動を指し、名詞が動詞化したものです。

この名詞の動詞化も日本特有なのではないでしょうか?これは翻訳の難易度も高そうです。

 

●英語「Tapi-ru」
英語でもサービス名の「Google」が「Google it」といった具合に「(Googleで)検索すること」の動詞として使われ、オックスフォード英語辞典に掲載されるほどに定着しています。

そもそもタピオカミルクティーは英語でbubble tea、pearl milk tea、boba teaなどと表現されますが、「Tapi-ru」は日本語特有の表現として、このように表します。

●簡体字「喝珍奶」
中国でタピオカミルクティーは「珍珠奶茶」と言いますが、タピオカを飲むという一連の動作として訳しています。

●繁体字喝珍奶
タピオカミルクティーを飲むは「喝珍珠奶茶」と言いますが、簡体字と同じく「喝珍奶」と訳します。

●韓国語「타피루」
韓国ではタピオカティーは「버블티(ポブルティ)」と言い、「버블(ポブル)」が泡(英語:bubble、バブル)、「티(ティ)」がお茶(英語:tea、ティー)という意味です。

 

いかがでしたか?2019年の流行語をWovnローカライズメンバーが翻訳するとこのような形でした。
翻訳とは単なる言葉の置き換えではなく、背景や文化、対象者を考慮し、その国の言葉で最適に表現すべく、機械ではなく人の手が必要な場合もあります。

 

今回の流行語を各言語で説明した記事はこちらです。

■英語 – An Overview of the 2019 Japan Buzzwords Awards –

■簡体字 解读“2019日本流行语大奖”

■繁体字 解讀「2019日本流行語大獎」

■韓国語 “2019 일본 유행어 대상”에 대해 해설

Webサイトの翻訳で悩んだら、多言語化のプロWovnにご相談ください。

※1 「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン新語・流行語大賞・・・この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。

参考:
・「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン 新語・流行語大賞https://www.jiyu.co.jp/singo/

・JETRO 「海外の税制」https://www.jetro.go.jp/world/

翻訳・多言語化の決定版
WOVN.io

多言語化のすべての課題に答える翻訳ソリューション