越境ecサイトを構築するには多額のお金がかかります。例えば、多言語化に伴う翻訳費用などです。基本的には、それは自分たちで賄わなければなりません。しかし、独立行政法人中小企業基盤整備機構では、中小企業を対象に補助金(助成金)を交付しています。きちんとしている計画書であれば、審査を経て後日かかった費用に補助を出してもらえますので金銭的負担を軽減させることができます。
今回は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する越境ecサイトの補助金についてご紹介します。
越境ec・多言語化の補助金・助成金支援とは
越境ecとは、インターネットを通じた国際的な通信販売のことです。日本で作った製品を海外に向けて販売したい場合、サイトを多言語化し閲覧者が読みやすい言語に翻訳する必要があります。
独立行政法人中小企業基盤整備機構では、中小企業向けに越境ecマーケティング支援事業に関する補助金を出しています。越境ecサイトの制作費用としてサイトの制作費、翻訳費、コンテンツ制作費など幅広く補助経費の使い道を認めています。
ただし、補助対象経費とみなされない分は補助金の対象外となり、利用することはできません。また、補助金は事前交付ではなく、精算払いになるためある程度の自己資本が必要となります。
サイトを多言語化するという行為は、とても手間がかかる行為でそれなりにコストがかかります。本業の傍ら翻訳をするという行為は、負担がかかってしまい、なかなか進みません。そのために外部に委託したとしても、翻訳結果が間違っている場合などは他の会社に依頼をせねばならず、かなりのコスト増につながりかねません。しかし、この補助金では翻訳費を経費と認めてくれるため、金銭的な負担を軽減することができます。
越境ec・多言語化の補助金支援の対象と目的
越境ec・多言語化の補助金支援の対象者は中小企業者のみです。
この補助金支援の目的は、環太平洋パートナーシップ協定交渉参加国を主に対象としています。新たに越境ecサイトを立ち上げる場合に、補助金を出すことで海外への販路拡大を促し、経済の活性化を図ることが目的です。今までであれば、越境ecを作る費用やすでにあるサイトの翻訳費用などは自己負担であり、金銭的な負担が大きくなかなか普及していませんでした。
しかし、補助金を出すことで事業者の金銭的な負担を軽減することができ、海外への販路拡大へ繋げやすくなります。
しかし、この補助金は環太平洋パートナーシップ協定交渉参加国以外を対象とする場合は交付されません。環太平洋パートナーシップ協定の交渉に参加していない国の人を対象にマーケティングを行う場合、それは補助金交付の対象外ということです。
また、すでに越境ecサイトを構築しており、補助金が出るからリニューアルするという場合は、補助金の対象外です。補助金の有無に関わらず、リニューアルに伴う費用は一切負担してもらえませんので注意してください。
なお、補助額は満額ではありません。かかった費用の2/3以内かつ100万円が上限となり、中小企業基盤整備機構が審査し認めた場合にのみ支払われます。
補助金支援事業期間について
補助金支援事業期間は、最長平成29年1月31日までです。2期に分かれて募集が行われ、第1期は平成28年6月30日から7月29日までとなっています。第2期は平成28年8月31日から9月30日までで、合計153件程度が審査合格となります。
多言語化に伴う費用の補助は、平成29年1月31日までに支払いが完了していることが必要で、支払いを終えていない場合は補助の対象外となります。また、採択・交付決定以前に契約等をしているものに関しては、費用補助は出ません。必ず交付決定後に契約している必要があります。
さらに、定められた期日までに実績報告書などの書類提出がない場合も、補助金を受け取ることはできません。採択されたからといって必ずしも補助金を受け取ることができるわけではないということです。中小企業基盤整備機構側で審査を行い、採択されたあとでもきちんと問われた内容に対し答えを返さない限りは、補助金は受け取れませんので、注意が必要です。
【参照元】独立行政法人中小企業基盤整備機構募集要項 http://crossborder.smrj.go.jp/subsidy.html
申請手続きの流れ
越境ecサイトの補助申請手続きの流れですが、まず募集期間中に越境ec事業計画書を策定し、機構側に提出をします。事業計画書には、公序良俗に問題のある事業ではないこと、社会通念上不適切ではない事業であることなどさまざまな制限が加えられますので、きちんと制限に沿って策定する必要があります。
機構に提出後、機構側では審査を行います。この審査では、過去3カ月以内に輸出をした経験のない対象者は、政策の都合上対象外となります。審査を経て、特に問題がなければ採択通知書が交付され、補助事業がスタートします。これが、申請手続きの流れです。きちんとした事業計画書がなければ審査は行われませんので注意しましょう。
なお、補助期間終了後、機構側より検査が入りきちんと使われているかチェックされます。その際に問題がなければかかった費用の2/3かつ100万円を上限とする補助金が支給されます。また、事業計画書を複数箇所に提出しており、他の補助金にも採択されている場合はどちらか一方を選ばなければならず、申告せずに後日明らかになった場合は交付取り消しになることもあります。
まとめ
越境ecサイトを構築する費用はかなりかかります。特に言語を翻訳するという事は労力もかかる上、コストもかかります。
しかし、国の独立行政法人がこのような補助金を出している場合は積極的に応募してみると良いでしょう。その際に、きちんとした事業計画書を策定していれば問題ありません。資金の使い道などを明らかにすることで交付率が上がるのではないでしょうか。
交付された補助金は後日支給になるため、一時的に自己資本を削ってしまう形にはなりますが、事業者の金銭的負担を軽減してくれますので安心です。