森ビルが実現する「都市の DX」とは|WOVN × 森ビル × チームラボ イベントレポート


『都市創りのデジタル化が進んでいる。施設やテナントそして組織内で分断されているデータを一元管理し、顧客価値創造に活かすことが重要だ。』

2021年11月17日に開催した共催セミナーでは、ヒルズネットワークの構築を実現した森ビルの山本 純也氏と、ヒルズアプリの企画制作を担うチームラボ 堺 大輔氏・猶原 淳氏、ヒルズアプリの多言語化を支援している WOVN 森山 真一が登壇しました。セミナーでは3社が中心となって実現した「都市の DX」成功事例について1時間お話しをしましたので、成功に向けたポイントなどを整理しました。

■目次

・街、施設の枠を越えてデータを一元化「ヒルズネットワーク」
・アプリはパーソナライズと One to One マーケティング
・在留外国人もターゲット。多言語化はスピードと質を確保

街、施設の枠を越えてデータを一元化「ヒルズネットワーク」

森ビル株式会社
タウンマネジメント事業部
TM マーケティング・コミュニケーション部 ヒルズネットワーク推進グループ
山本 純也氏

六本木ヒルズなどの大型複合施設の開発や運営、主に都心部に位置する約100棟のビルを管理する森ビル。

同社の都市創りにおける考え方の根底にあるのが「ヴァーティカル・ガーデンシティ」という、オフィス、住宅、店舗や文化施設など様々な都市機能を集約、垂直方向に重ねた超高層タワーを建設し、空いた地上の広大なスペースは緑化するという都市モデルです。

しかし、このようにしてつくられた多様な施設を、ひとつの街として運営する中で、ユーザーデータを施設や店舗ごとに個別に管理していたため、複数の施設を訪れていただくユーザーに総合的なサービスが提供できていないことなどが課題となっていました。これらのユーザーデータを統合的にできれば、訪問者ひとりひとりの好みや年齢、職業などにあわせた情報提供が可能となり、ユーザーの利便性が大きく高まります。

そこで森ビルが新たに構築したのが、ヒルズという街での人々の営みを支える都市のデジタルプラットフォーム「ヒルズネットワーク」。異なる場所に位置する複数のヒルズと街にある様々なテナントや施設、それに紐づく人の行動、そして分断されていたデータを「ヒルズ ID」で一元化し、顧客体験の向上を図ろうというものです。

データが集まることで顧客の解像度が上がり、サービスのパーソナライズと街の最適化が進められると山本氏は語ります。ヒルズという街でのお客様の体験価値の最大化を図るのが狙いです。

ヒルズ ID でログインする「ヒルズアプリ」がインターフェースとなり、物理カードで運用していたヒルズポイントの共通利用や、各ヒルズでバラバラに運用されていた情報の集約、優待サービス、レストランやイベントの予約機能などが備わっています。

『都市創りと同様、アプリも完成後に育てていくことが重要。』と山本氏。ヒルズを横断したあらゆるサービスのパスポートであり、ヒルズと顧客のコミュニケーションのハブとなるヒルズアプリ。ヒルズアプリの今後の進化が「都市の DX」の鍵となりそうです。

アプリはパーソナライズと One to One マーケティング

チームラボ株式会社
取締役
堺 大輔氏
チームラボ株式会社
Catalyst team Catalyst
猶原 淳氏

チームラボと聞くと来館者数でギネス世界記録を保有する「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」などデジタルアートのイメージが強いですが、他方では企業の課題を解決するデジタルソリューションの提供も得意としていて、今回の森ビル「ヒルズアプリ」を担当したのも同社です。

同社堺氏によると『企画、開発、UI/UX、そして仕組みを作った後の改善を重視している』とのこと。社内にエンジニアとデザイナーを500名以上抱え、一気通貫ですべてを内製する体制が整っています。

ヒルズアプリにおける一番のこだわりは、徹底的に個人に最適化されるインターフェース。猶原氏によると『森ビルの特徴として、街や施設ごとにそれぞれ特色をもち様々なサービスが提供されていることが挙げられます。情報が煩雑にならないよう、自分に関係のある情報だけシンプルに受け取れるようにしました。』とのこと。

ヒルズアプリでは、オフィスワーカー、居住者などの属性や、ユーザーの位置情報、興味関心に応じて、ホーム画面のバナーやコンテンツがひとりひとりに合わせたものに変化します。また、店舗からの新着情報などがアプリ内通知やメール配信から最適な方法で提供されます。アプリを使った One to One マーケティングが実現できている事例と言えます。

そしてアプリを支える仕組みとして、アプリサーバー、レコメンドエンジン、コンテンツを管理する CMS、データ分析を行う DMP など様々な工夫がなされています。『裏側に配置されたシステム面の複雑さを感じさせないシンプルなデザインとし、森ビルの高級感や洗練されたイメージを表現した。』と猶原氏は説明します。

在留外国人もターゲット。多言語化はスピードと質を確保

ヒルズネットワークが主要ターゲットとする港区は外国人が非常に多いエリアです。日本にある大使館の約半数が港区にあり、外資系企業数も全国最多、インターナショナルスクールや外国人旅行者を魅了する観光施設も多く存在します。ヒルズの利用者、すなわちヒルズアプリのユーザーは当然外国人も含まれます。

『ブランドを損なわない翻訳で、外国人にもリアルタイムに情報発信を行いたい。しかしヒルズアプリ自体の開発に注力するため人的リソースは最小化したい。』
この要望を受け、ヒルズアプリの多言語化を担うのが 、WOVN でした。

WOVN は、Web サイトやアプリを多言語表示に変えられるソフトウェアです。既存のアプリに WOVN を導入することで、大規模なシステム開発を行うことなく多言語化できます。また、システムによる自動翻訳と人の手による翻訳を使い分けることで、翻訳運用に必要なリソースを大幅に圧縮することも可能です。

WOVN 森山によると、『今回のケースでは、用語集を反映した自動翻訳を中心に、公開前に人的チェックを行うことで誤訳によるブランドイメージ毀損を避けました。』とのこと。

多言語化にあたり森ビルが行った作業は、社内用語集の整備と翻訳のチェック。チームラボは、ヒルズアプリへの WOVN 導入作業と、レイアウトなど UI/UX の調整を担いました。そして、各社で翻訳公開までのフローと体制を構築し、多言語アプリのリリースとなりました。

多言語化されたヒルズアプリにより、在留外国人のユーザー数は順調に拡大し、非日本語話者の利便性が圧倒的に向上しているとのことです。

驚くのはリアルタイムな情報伝達にも関わらず、森ビル側の運用担当は実質1人だということ。アプリの多言語化は WOVN によって提供されるため、森ビル、チームラボはヒルズのあらゆるサービスのパスポートとなるヒルズアプリの運用、開発のみに注力することができます。
詳しい導入事例はこちら

各社が協力し「都市の DX」の体制を構築することで、ヒルズの体験価値を向上していると言えます。

「都市の DX」が進むことで、在留・訪日外国人にとって日本で過ごす時間を価値あるものと感じてもらえる機会が一層増えそうです。WOVN はこれからも「世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにする」という Mission 実現に邁進していきます。

WOVN.app の詳細資料については以下より DL いただけます。

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