DXを 国際化するための社会インフラ構築|WOVN 林|GLOBALIZED 2020

GLOBALIZED2020_Keynote1


Wovn Technologies株式会社が開催する、「テクノロジー」をテーマにした年次イベント「GLOBALIZED」。2020年は「テクノロジーで解決する、日本が直面する4つの『限界』」をテーマに7つのセッションをお届けしました。

最初のセッションには「DX を国際化するための社会インフラ構築の挑戦」をテーマに、Wovn Technologies株式会社 代表取締役社長 CEO 林 鷹治が登場。最早人類の「社会インフラ」となったインターネットですが、インターネットは他のインフラと違い「言語の壁」があると林は語ります。この壁を取り除くために活動しているWovn Technologiesですが、これを進める次の構想として「WOVN Proxy」を発表。インターネットの国際化に取り組んでいきます。

Wovn Technologies株式会社 代表取締役社長 CEO 林 鷹治
Wovn Technologies株式会社 代表取締役社長 CEO 林 鷹治
車載機の開発、ソーシャルゲーム開発、EC プラットフォームのグロースハッカーを経て、
Wovn Technologies株式会社を創業。

社会インフラとしてのインターネット

DXを国際化するための社会インフラ構築の挑戦

皆さん、こんにちは。Wovn Technologiesの代表取締役の林鷹治と申します。私はもともと車載器やゲーム、EC サイトの開発をしていたエンジニアです。インターネットとものづくりが大好きで、それが WOVN.io といったサービスにも反映されています。

今日は「社会インフラ」というテーマでお話させて下さい。

「社会インフラ」と聞いて、皆さんが思い浮かべるものはなんでしょうか。おそらく道路や水道、電気だと思います。では「インフラ」とはなんでしょうか。

私が考えるにインフラとは「経済的・福祉的な豊かさのために万人が使えるもの」です。人間としての豊かさを得るために、誰でも使えるのがインフラだと考えています。例えば水道があることによって水を飲んだり清潔さを保ったり、交通があることで経済活動が保たれ、電気があって安全に暮らせます。

インフラが「経済的・福祉的な豊かさのために万人が使えるもの」だとすると、インターネットも新しいインフラと考えていいでしょう。皆さんもインターネットがない生活というのは最早想像できないのではないでしょうか。誰もがインターネットを、自らや社会の豊かさのために使っている。そういった意味でインターネットはインフラと言えます。

ただ既存のインフラ、つまり水道や電気・ガスとインターネットには大きな違いがあります。それはインターネットは「言語に依存している」ということです。ウェブサイトを見たり、動画を見たり、podcast を聴いたり、全てのインターネットコンテンツは基本的には言語に依存しています。

ところで、インターネット上の日本語コンテンツは、全体のたった3%しかないんです。インターネットを使えば世界中の情報が手に入っているように錯覚しますが、日本語でインターネットを使っている限り、たった3%の情報にしかアクセスできていないということになります。

インターネットの思想には、国境はない。が、言語の壁がある。

「インターネットの思想には国境がない」という説明には、誰もが納得するでしょう。ただインターネットにはまだ、言語の壁があります。例えば国内には300万人の在留外国人がいますが、彼らにはコロナウイルスの重要な情報がリアルタイムで入ってこないため、とても困っています。それらの発信は日本国内では日本語のみというケースがあまりにも多いのです。どういった対策が必要で、今何をすべきか。コロナウイルスの話は、言語の壁の一例でしかありません。

多言語化のためには複雑な国際化対応が必要

さて我々 Wovn Technologies は、インターネットを真に万人のものとするための挑戦をしている企業です。Wovn Technologies は「世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにする」というミッションを掲げ、WOVN.io という Web サイトを多言語化するソリューションや、WOVN.app というモバイルアプリを多言語化するソリューションを開発・運営しています。

今では例えば、銀行のネットバンクシステムに WOVN.io を導入いただいています。もともと日本語でしか使えなかったネットバンクですが、「金融サービスはインフラである」という考えのもと、外国人もサービスを使えるように導入いただきました。

Wovn Technologies株式会社 代表取締役社長 CEO 林 鷹治

ある鉄道会社では、台風等の災害、鉄道事故といった運行情報をリアルタイムで外国人に伝えるために多言語対応を行いましたが、その裏側を WOVN.io が支えています。

時勢なところでは、WFH(Work From Home)のために、各社が SaaS を導入しており、その多言語化に WOVN.io が利用されているというケースがあります。リモートワークなどの生産性ツールも外国人の従業員がいらっしゃる会社さまを中心に導入が進んでいるところです。おかげさまで Wovn Technologies は順調に成長しています。

そんな中2020年には、コロナウイルスのパンデミックが発生しました。これによって DX と呼ばれる社会変革が起き、多くの SaaS や BtoB のインターネットサービスが台頭するとみられています。

例えば、去年まで仕事というものの概念は、紙の契約や会議室での対面会議といったように、オフィスが9割で、インターネットは補佐的に1割の仕事量でした。ただ今後仕事の概念は見事に逆転するのではないかと思っています。つまりインターネットが9割になるということです。チャットツールやイントラネット、Web 商談等が当たり前になり、オフィスでの業務が1割になっていきます。

また外国人が日本で働いたり生活をしたりするためには、インターネットの多言語化が必須です。またリモートワークでは地理的な制約がなくなるので、世界中から人を採用できるようになりますが、彼らが働くためにも多言語化は必要になってきます。

システム×言語=インフラ

しかしながら、多言語化のためには複雑な国際化対応が必要になりますし、DX によってシステムが増えれば増えるほど、この国際化対応が複雑になる。私が思うに、インターネットはこれらの対応ができてこそ、本当のインフラになり得るのです。

電気が日本で社会インフラになるまで

ここで電気というインフラの話をしたいと思います。

ご存じの通り、電気はもともと発明されたものです。つまり初めから今のようにインフラだったわけではありません。

東京電燈(とうきょうでんとう)

日本で最初の電気会社は資本金20万円の東京電燈(とうきょうでんとう)という民間企業でした。1883年に渋沢栄一をはじめとしたメンバーで創業して、戦後まで活躍していた企業です。当時、紡績や鉄鋼といったインフラの企業は官営、つまり国が運営することが当たり前だったため、日本最初の電気会社である東京電燈は、当時はインフラ企業とはみなされていませんでした。東京電燈はただのベンチャー企業だったのです。

東京電燈はどのように電気を届けていたか。それは「電気が必要な場所の近くに発電所を置く」というアプローチでした。麹町に皇居へ電気を運ぶ発電所を造ったり、日本橋にも発電所を造り電気を銀行へ届けたりしていました。

他方で電気のニーズが増えるにつれ、問題も出てきます。それは当時の発電効率と送電技術だと、街中・日本中に発電所が必要になってしまうということです。これでは街が発電所だらけになってしまいますし、公害の問題も増えてしまいます。

それを解決したのもテクノロジーです。電流が直流から交流へ進化をすることで長距離送電が可能となり、技術発展により大規模発電ができるようになったりしました。そういう進化を遂げることで電気は、社会インフラになっていったのです。

ソフトウェアでなく「インターネット」を国際化する

話をインターネットに戻します。インターネットはどうして社会インフラになり得たのか。

CDN(Contents delivery Network)

インターネットには CDN という技術が使われています。簡単に説明すると CDN とは、「データ配信に最適化されたネットワーク」です。例えば日本のサーバーがアメリカにある YouTube を見たいと思ってアクセスをすると、直接アメリカのサーバーに長距離でデータを取りにアクセスするのではありません。YouTube は CDN を使って Proxy サーバーと呼ばれるサーバーに、あらかじめデータを一時的に保存しており、日本から動画を観たい場合にはアメリカへ直接アクセスするのではなく、近所の Proxy サーバーにアクセスするのです。

全てのインターネットサービスがこの CDN という仕組みを使っていると言っても過言ではありません。CDN がなければ多くの Web サービスは、すぐにダウンしたりアクセス速度が遅くなったりします。電気と同じように、技術の進化がインターネットを支えているのです。

CDN の話からもわかるように、インターネットの思想に国境はありません。地球の裏側までデータを運べるし、地球の裏側のことを知れるのがインターネットです。しかしインターネットには言語の壁があるというのは、前述の通りです。

WOVN PROXY

ここに、Wovn Technologies の次なる挑戦があります。それが「WOVN Proxy」という構想です。今後 Wovn Technologies は、先ほど説明した CDN に近い構成の WOVN サーバーを構築し、世界中で使えるようにしていきます。

メリットは大きく3つ。まず、CDN と近い仕組みのために Proxy を配置できます。それによって、サイトにアクセスする人の近くに多言語ページを配置できます。例えば、イギリスに Proxy サーバーを置けば、イギリスから英語でアクセスした人には日本までアクセスさせずに、イギリスで多言語のページを表示させるといった仕組みが構築可能です。

2つ目のメリットは、プログラミングが不要の多言語化。サーバーの変更もせず、DNS というネットワークの向き先を変えるだけで、すぐさまどんなサイトでも多言語化できるようになります。

最後のメリットは安全性。Wovn Technologies の Proxy とお客さまのサーバーを分けて提供することで、障害の切り分けが可能になります。世界中からアクセスがあるであろう多言語サーバーの障害を切り分けることで、安全性と可用性が飛躍的に向上するのです。

今後は CDN 事業者さまと連携であったり提携という可能性を探っていきます。そうすることで速度や可用性も飛躍的に向上するでしょう。

このように今後 Wovn Technologies は、この Proxy サーバーを作って世界中に構築していくことでインターネットを誰でも母国語で利用できるためのインフラを作っていきます。今まではソフトウェアの国際化をしていました。この Proxy によって今後はインターネット空間そのものを国際化する、そういう社会インフラに Wovn Technologies を進化させたいと考えています。

Wovn Technologies が掲げるのは「Localize the Internet」。インターネット空間をローカライズして、世界的な黒子企業になるというのが僕らのビジョンです。インターネット空間が国際化されている社会、それを作ることで、インターネットを真に、本当に万人の豊かさのために使われるようなインフラにしていきたいなと考えています。そのために Wovn Technologies は、「ソフトウェアの国際化」から「インターネットの国際化」と視野を広げ、社会インフラになっていきたいと考えています。

以上です。ご清聴ありがとうございました。

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