300万人の「外国人だからダメ」をなくす。日本で暮らす外国人の課題とは【YOLO x WOVN】


外国人への求人メディアを代表に、様々な形で外国人支援をしている株式会社YOLO JAPAN(以下「YOLO JAPAN」)。Wovn Technologies 株式会社も、実に幅広い業種の大企業から相談を受け、お仕事をしています。多方面から外国人に関わっているからこそ、外国人が日本で過ごす上での課題が見えてくるはず。今回はYOLO JAPAN COOの椿氏と、Wovn Technologies株式会社COOの上森が対談。在留外国人が日本で暮らす上での課題と、企業の対策について語りました。

 

いかに外国人へ機会を提供するか

上森:最初にYOLO JAPANについて簡単に教えて下さい。

椿:YOLO JAPANは、日本に住む外国人向けに、アルバイトの求人情報をウェブで提供しています。

株式会社YOLO JAPAN 取締役 最高執行責任者COO 椿 奈緒子 氏
総合商社を経て株式会社サイバージェント、株式会社VOYAGEGROUPにて7つの会社や事業を立ち上げるシリアルイントレプレナーとして活躍後、2018年11月に当社にjoin。YOLO JAPAN事業や事業提携を統括。プライベートではブラジル人夫の妻、二児の母。


椿:とはいえ、オンラインメディアだけでは外国人のサポートはしきれませんので、リアルでも展開をはじめました。9月末に大阪の新今宮で外国人向け就労トレーニング施設「YOLO BASE」をオープンし、施設内に併設しているレストランとホテルで未経験の外国人を中心にトレーニングを兼ねて採用しています。YOLO BASEで毎週金曜日に無料で日本語クラスを開催していたりもします。

他にも色々なことをしています。例えば外国人向けのクレジットカード発行支援や、医療では問診票の多言語展開、国に帰ってしまうこともある外国人向けに解約料金のない格安SIMなどの取り組みもしています。

上森:多岐にわたる事業をされてているんですね。

椿:仕事、医療、金融から、新しくできた在留資格「特定技能」を取るための教育プログラムなど、本当に幅広いですね。

上森:覚えきれないほど事業をされていますが(笑)、そもそもYOLO JAPANはどんな経緯で創業されたのでしょう。

椿:YOLO JAPANは2004年に英会話スクールとして設立されました。2016年から事業を拡大して、外国人向けの生活サポートサービス全般を提供しています。もともと英会話スクールだったので、英会話の先生として外国人との接点はあって、まずは人材紹介からはじめ、少しずつ事業が多角化していったという感じです。

Wovn Technologies 株式会社 取締役副社長 上森 久之
北海道出身。デロイト・トーマツにて、新規事業/オープンイノベーションのコンサルティング、会計監査、M&A関連業務などに従事。公認会計士登録。2016年、COOに就任。2019年、取締役副社長に就任。


上森:様々な事業を束ねる会社のミッション・ビジョンを教えて下さい。

椿:YOLO JAPANのビジョンは「日本人と外国人が共存する日本作りに貢献する」、キーワードとして「More opportunity, better life」を掲げています。「日本に住む外国人にとってより多くの機会を。そしてより良い生活を」をミッションにしているので、いかにより良い生活ができるか、機会を提供できるかを考えています。より多くの外国人の生活サポートプラットフォームとなるべく、機会提供から生活サポートまで行っていきます。

単にコミュニケーション能力を求めればいいわけではない。

上森:メイン事業である外国人の仕事紹介について教えて下さい。外国人をとりまく採用環境は変わってきていますか?

椿:背景として、今日本人がすごい勢いで減っていますよね。そのせいで日本企業各社が採用に苦戦しています。日本人を採用するのが難しくなり人材不足の課題を解決すべく、外国人の採用ニーズが強くなっているという状況です。とはいえ、今まで外国人を採用した経験が少ない企業は、どうやって採用すればいいかわからないといった悩みを各社抱えています。なので現在は外国人採用啓蒙期ですね。

上森:採用しようとして企業が最も困ることは何ですか?

椿:ビザに関する知識と、求める日本語力と仕事内容のバランスですね。
日本語力については、どの程度の日本語力が必要かを検討することが重要です。マニュアルがあればできる仕事、例えば皿洗いでは、そんなに日本語ができなくても問題ありませんよね。他方で接客にはある程度の日本語力が必要になります。
なのでYOLO JAPANでは、「このお仕事だったら日本語不問でもOK。この仕事だとこれくらいのレベルが必要」といった案内もしています。

上森:ただサービス業ではお客さんとコミュニケーションをとることと、読み書きにはスキルとしてかなり乖離があるなという印象があります。

椿:そうですね。ただ今は日本語の能力を測る客観的な指標は日本語能力検定(JLPT)以外にないんですよね。読み書きでしかないJLPTでしか判断できないというのが現状です。

そこでYOLOでは、動画で自己紹介をするというサービスを始めました。本人に1分間で自己紹介動画をセルフィーで録ってもらって、それを採用担当者の方に見ていただく。動画を見ていただいて、面接に進むか進まないのかを決めてもらうんですね。

上森:なるほど。動画を使って1分の動画コンテンツにして、実際見て話してもらって判断する。形式的でなく、実際に仕事できるかなというのを見れるようになりますね。

単なる翻訳ではなく、事業をつくっていくために

上森:今後外国人の労働者を増やしていく、または外国人が働きやすい環境を提供していく上で、日本の政府・企業に提言はありますか?

椿:外国人が日本で働くことを考えると課題が山積しています。このままだと日本は外国人に選ばれない国になってしまうのではないかと危惧していて、政府も企業もそれはわかっていると思います。政府レベルの法改正、規制緩和などの社会的変革はもちろん、企業レベルでは労働環境の整備は重要。そして何より外国人が利用するサービスを拡充することです。例えばクレジットカードや銀行、不動産など、各所でトラップがあって、外国人がストレスなく契約するのは非常に困難。結果的に現在日本は住みにくい国になってしまうこともあると思っています。

上森:企業の役割でいうと、日本にある3000社以上の上場企業と、400万社ある中小企業、どちらが受け入れを積極的にやっていくべきですかね?

というのも、Wovn Technologiesは今、インターネットをローカライズしていくうえで、上場企業を中心に導入頂いています。これは、日本は大企業に優秀な人材が多く、まずは大企業にローカライズ技術を導入していかないと、多言語化という概念が世に広まらないからです。

また新しい技術は大企業から実用化されます。例えばコンピューターは、1960年代にIBMがビジネスコンピューターを大企業に普及して実用化し、それから20年後にアップルが個人向けにパーソナルコンピューターを普及させました。

大企業に多言語化を広めてノウハウや技術を洗練されていき、そのうち誰でもいつでも安価で多言語化できるような世界を作っていきたいと考えています。


椿:外国人材という意味で困っているのは中小企業ですね。単純に人手不足で。でもアダプトしていくのは大企業の方が先だと思っています。なぜなら大企業の方がアダプトするリソースがあるから。

例えば最近「特定技能」という新しい在留資格が出てきて、それを活用して外国人材を受け入れたり採用したりするわけです。でもそこにはいろいろなプロセスや準備が必要で、正直、中小企業には相当大変。だからといって在留資格のプロセス的ハードルを思いっきり下げたら、それはそれで別の問題が出てきてしまうかもしれない。

そう考えると、改善は必要ながらも、しばらくは現行制度で動かしていくしかなくて、リソースのある大企業が先に適応していくのかなと感じます。

上森:Wovn Technologiesに多言語化に関してご相談いただくときの内容は大きく3つで、「インバウンド」「海外展開」そして最近最も多いのが「在留外国人」に対処したいという話です。そのほとんどが生活インフラ関連。衣食住やお金にまつわるサービスを展開している会社からの相談が多いです。例えば電気・ガス・水道・銀行・買い物といったところですね。

生活インフラを提供している企業が外国人対応をしていくのは、間接コストに近いようなものだと思うんです。直接それがすぐに収益に結びつくかはわからないけど、世の中の流れとして対処しなければならない。

メガバンクSMBCがWOVN.ioを使い、外国人が口座開設する際に多言語化していたり、同じく旅行会社のHISも在留外国人向けにチケッティングの多言語化をしたりなど、なんか日本も変わってきた気がするな、って強く感じているところです。


椿:YOLO JAPANにも、大手企業さんからの問い合わせは多いのですが、企業側が考える「外国人向けにサービスを提供するリスク」の考え方が、今後劇的に変わっていくと思っています。誤解を恐れずに言うと、外国人は日本人比較、信用が低めなことが多いのです。今まで日本に滞在していなかったから過去データが少ない。実はYOLO JAPANの隠れたミッションは、その信用をどのように補完していくかということなんです。「外国人だからダメ」といったことをゼロにしていきたいんですね。

例えばクレジットカードひとつとっても、多言語化だけでなく、日本人と全く同じフローや審査でいいのかなど、各社頭を悩ませているところだと思います。そういったところを一緒に作っていきましょうとか、一緒に変えていきましょうみたいな動きはあります。

上森:本当そうですよね。多言語化というのは単なる翻訳ではないんです。本当に達成しなければならないのは事業として顧客のニーズを充たすこと。翻訳は単なる手段です。

Wovn Technologiesでは今、「多言語体験」を提唱しています。「MX(Multilingual Experience、多言語体験)コンサルタント」が顧客と従業員、日本人と外国人の観点から「体験」を最適化するお手伝いをしています。

上森:最後に、今後実現していきたいことを教えて下さい。

椿:YOLO JAPANは、日本に住む外国人になくてはならないサービスを提供するための基盤を整えるフェーズです。より多くの外国人に生活サポートが提供でき、たくさんの外国人ユーザーに使い続けてもらうというようにしていきたい。結果的に「日本人と外国人が共存する日本作りに貢献する」というミッションを体現したいと思います。

上森:WOVN.ioも日本人だけでなく、日本以外の方にも最適な体験を提供できるようにしていきたいと思います。本日はありがとうございました。

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(文・写真 pilot boat 納富 隼平)

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