WOVN は、7月に 香港を拠点とする Tybourne Capital Management(タイボーン・キャピタル・マネジメント)(以下、Tybourne)を始めとした 36 億円の資金調達を実施しました。Tybourne は、中長期に株式を保有する機関投資家であり、その対象はグローバルに展開されています。現在、日本での投資活動も積極化するという Tybourne には、WOVN がどのように見えたかについて Tybourne の持田さんにお話をお伺いしました。
- Tybourne 持田 昌幸さんについて
- 中長期的に投資を考えるクロスオーバー投資家
- 投資をする上で大事にしていること
- WOVN メンバーに向けて
1. Tybourne 持田 昌幸さんについて
狭いコミュニティから外の世界へ飛び込み感じた多様性
「まずは持田さんのこれまでのご経歴について教えてください。」
持田さん:
僕はアメリカで生まれて、生後半年経った頃日本に帰ってきてから社会人になるまで日本で過ごしました。大学卒業後、新卒でアメリカ・ニューヨークの投資銀行に入社し、そこで5年間企業の資金調達や事業計画策定などを経験しました。
「投資銀行でのお仕事はどのようなものだったでしょうか。」
持田さん:
毎日朝9時に出社して夜中の2,3時に帰っていたので、結構ハードワークでした(笑)。でも楽しかったです。最初は英語も全然喋れるわけではなかったのですが、外国人の同僚に囲まれた環境の中、業務も初めての経験だらけでしたが、様々な方に助けられ、辛くもあり面白くもありみたいな。当時の僕のように英語があまりできない外国人への理解もあり、インクルーシブに助けようみたいな文化もありました。
「そういった多様性の中でご活躍されてきたのですね。」
持田さん:
逆にそれまでは多様性の中で生きてこなかったんです。幼稚園から大学まで一貫校だったので超狭い世界で生きてきたんですよね、そんな環境で育っててアメリカにいきなり行って飛び込んだのは大変だったしカルチャーショックもありましたけど、振り返ってみると良い経験だったと思います。
2. 中長期的に投資を考えるクロスオーバー投資家
上場前から事業を深く理解し、上場後の成長も見据え中長期に支援する
「では、あらためて『機関投資家・Tybourne』について教えていただけますか。」
持田さん:
Tybourne は、2012年創業、香港の本社とサンフランシスコに拠点を持つ、アジアベースのグローバル機関投資家です。アジアにいながらもアメリカやヨーロッパ、オーストラリアにも大きなポジションがあります。我々はクロスオーバー投資家といって、もともとは上場株に投資をしていましたが、現在は未上場の段階からも投資をさせていただいて、IPO 後も株を保有したり買い増したりもしています。
「VC と機関投資家の違いを教えていただけますか。」
持田さん:
VC は基本的に投資先が上場したら買い手ではなくなってしまいます。我々は上場マーケットでも株を買えるので、プライベートの時から見てきて、事業を本当に理解しているといったアドバンテージを生かしながら、中長期で株を保有し買い増していけることが違いであり価値だと思います。
「上場前から上場後の成長を見据えてご支援されているのですね。」
持田さん:
そうですね。それは出資を受ける企業側にとってもすごくメリットだと思います。ベンチャー企業が成長する過程で IPO のタイミングが早すぎると、上場企業のあるべき姿を用意できていないこともあると思います。決算や業績予想を外さないことも大事ですし、当然事業の成長も求められます。また求められるガバナンスも一段と高くなります。そういった考え方を IPO 前から準備の支援ができればと考えています。
3. Tybourne が投資をする上で大事にしていること
成功する SaaS プロダクトには、顧客に刺さるキラーファンクションがある
「持田さんが投資家として行動する上で大切にされていることは何でしょうか。」
持田さん:
PMF (Product Market fit)が出来ていること、TAM(Total Addressable Market)が大きいこと、そして競争優位性があること。これらはどの投資に関しても大切にしています。
我々は一緒にプロダクトを作るというアーリーフェーズでなく、魅力あるプロダクトは既にあり、ビジネスをどのようにスケールさせるか、というフェーズで投資させてもらっています。
「投資検討の際も、WOVNのビジネス環境や製品を深く理解するために様々な角度から話を聞いていただいた印象でした。」
持田さん:
成功する SaaS プロダクトには「何かあったらいいよね」より、「これがなきゃダメだよね」と刺さるキラーファンクションがある気がします。例えば会計 SaaS は誰もがやるべきことなので、「これがなきゃダメだよね」がすごく分かりやすいですよね。WOVN も Web サイトをローカライズする中で、“WOVN のグロッサリーが非常に使いやすい”とか、“この機能本当に良いよね”というキラーファンクションがあると刺さりやすいですよね。そのために、本当に Web サイトを多言語化したい人たちは誰なのか、WOVN ユーザーに刺さったユースケースをしっかりと理解することがとても大事です。
そして次のフェーズは、いくつかあるユースケースのどの部分にどのようにストラクチャーを持ってアプローチしていくのか、そのセールス体制について話していくべきだと思います。例えば EC サイトとブランドサイトを多言語化したい人たちに同じセールスチームをあてるのか、違うセールスチームをあてるべきかを考えるのは結構面白いポイントかなと。このセールスストラクチャにエビデンスが出てくると、成長の確度がぐっと上がると思います。
4. WOVN メンバーに向けて
「オポチュニティ」が WOVN には無限にある
「最後に、WOVN のメンバーに向けて一言お願いします。」
持田さん:
WOVN はすごく良いプロダクトだと理解しています。TAM は大きいですし、これからもやるべきこともいっぱいあるので、世界で活躍する企業になる可能性が十分あると僕は思っているんですよね。
ミッションや世界観にも共感しているので、とても応援しています。
WOVN さんは「オポチュニティ」が無限大にある気がしています。とはいえ、実際 WOVN で働いてらっしゃる方々は目の前の一つ一つのことを追っていかないと辿り着けないので苦しいこともあるとは思いますが、すごい面白い企業なのでぜひ一緒に頑張っていきましょう!
「激励のメッセージありがとうございます、これで WOVN メンバーのモチベーションもアップすると思います。本日はありがとうございました!」