2月21日は「International Mother Language day」という国際デーなのですが、ご存知でしたか?日本語では「国際母語デー」と言われ言語と文化の多様性、多言語の使用、そしてあらゆる母語の尊重の推進を目的として、ユネスコが1999年に制定した国際デーです。
日本人の我々にとって日本語を話すことが当たり前で、地域によって所謂「方言」があるかもしれませんが、「母語」という言葉を普段あまり意識することなく過ごしているかもしれません。
今日はこの「国際母語デー」の起源と共に、日本人とオランダ人のハーフで4つの言葉を話すmasakoについて紹介したいと思います。
国際母語デーの歴史
もし、今安倍内閣が「日本語の標準語以外の利用は禁止です。今お使いの地域に根付いた方言を使うことを全面的に禁止します」と法令を出したらどうしましょうか。
それか「アジアに所属する諸国の母語は”中国語”になりました。日本語の利用は本日から禁止です。使った者は罰せられます」となったら・・・
慣れ親しんだ言葉が禁止される
これが「国際母語デー」が誕生したきっかけです。
バングラデシュという国はご存知ですか?1971年にパキスタンから独立した国です。独立前は東パキスタンと呼ばれ、多くの人が「ベンガル語」を話していました。しかし、パキスタン政府は西にあり、そこで話されていたウルドゥー語を全パキスタンの唯一の国語として掲げ、メディアや学校などでウルドゥー語のみを使わせようとしました。
それに反発した東パキスタンの学生は、集会を開き抗議活動をします。1952年中央政府は、集会は反政府行動とみなし、射殺する、と発令しました。それでも学生達は命より言葉を選び、2月21日の集会は決行され学生が命を落としました。
歴史の中で初めて、人々が命をかけてまで母語を守ろうとしたこの日を「International Mother Language day」とし、世界のあらゆる言語を守る目的で制定されたのです。
言葉の大切さ
「言葉と文化は切っても切れない関係」と言われているように、言葉はその利用されている地域・環境の影響を大きく受けて育ってきたものではないでしょうか。言葉を否定されるということは、その文化や、はたまたそれを使う人々のアイデンティティすら否定していることになりかねません。
私は日本語しかできないので、胸を張って「母語は日本語です」と言えますが、なかには「母語」が何かわからない、という人もいます。
ここで同じチームのmasakoについて紹介したいと思います。
複数の言語が喋れるということ
masakoは父親がオランダ人、母親が日本人のハーフでスイスで産まれました。
8歳の時に中国に渡り3年間過ごしました。その後スペインへ引越し14年間、その後もフランスやベルギーでの生活を経て、3年前に東京に来ました。
言葉に関しては4つ、11歳までフランス語の学校に通っていたのでフランス語、スペインで学んだスペイン語、英語は両親が話していたのでそこで覚え、日本語は日本に来てから習得したというmasako。
興味深いのはmasakoが幼少期から家族との間で複数の言語と接することが普通だったという点です。父親と話すときはフランス語、母親は日本語を話し、masakoがスペイン語を取得すると、それぞれの得意な言葉で会話が自然に成立していたようです。
私の母語はこの先変わるかもしれない
「初めて覚えた言葉は日本語で、11歳まで慣れ親しんだのはフランス語、そしていつの間にかスペイン語がメインになっていった。」
母語とは、人間が幼少期から自然に習得する言語。最も得意な言語という定義がありますが、masakoにとって「母語」とは「1番便利な言葉」として今はスペイン語、でも今後また変わるかもしれない、と話していました。
言葉は文化の影響があるので、例えばスペイン語を話すときは声が高くなり、手が動く。
フランス語は話す時には、少し頭で考えながら話す。
英語は英語圏に住んだことがないから文化はわからない、気持ちが入らないようなイメージ。
日本語はまだまだ勉強中なので、喋りながら不安な気持ちがある。
その言語によって、自分のキャラクターや表現や仕草が変わると話すmasako。
会話の中で無意識に料理名だけ日本語で口から出ていることもあるという。複数言語が織り混ざっても、自分では話している時に違和感がないそうです。
私にはメインの言葉を持つことが大切だった
母語がはっきりしている人を、うらやましいと思うこともあるいうmasako。
「けど変われないから、私は私で、私の育った環境が好きです」
今は「あなたの母語は?」と聞かれたら「スペイン語」と答えるそうですが、スペイン語をちゃんと取得するまでは、一生懸命勉強し、辛いこともあったそうです。
「言葉」に関して大切にしていることは、と尋ねると、次のように答えました。
1つはメインと言えるランゲージを持つことが私には必要でした。コミュニティによっては言語は限られていて、伝えたいことがちゃんと伝えられないとハンディキャプになります。だから私はスペイン語を学びました。ネイティブの子に間違ってるよ、と指摘できるぐらいまでにね。
メインの言葉には気持ちがある、スペイン語を聞くとほっとしたり、ドキドキします。私のアイデンティティに影響していると思います。
改めて「母語」を大切にしよう
masakoのように複数の言語と文化に触れてきた人は、それぞれの持つ良さ・難しさを理解している印象でした。
日本語は美しく、表現も豊かな言語だと思います。だからこそ正しく、綺麗な日本語使うよう心がけたいものですね。言葉と文化はいつでもセットだということ、そしてそれは「自分らしさ」にも繋がるということを忘れないようにしなければなりません。
2/21は「国際母語デー」。あなたは自分の言葉が好きでしょうか?
参考: