海外から日本を訪れる外国人の数が、年々増えてきているというニュースを聞く機会が多くなりました。それに伴い「インバウンド(訪日旅行)」という言葉も一般的に知られるようになりました。日本には外国人を惹きつける魅力がたくさんあるので、今やインバウンドビジネスを展開していくのは常識となりつつあります。
そこで、ビジネスチャンスを取り逃がさないようにするために、今一度インバウンドビジネスについて理解しておきましょう。
インバウンドビジネスとは
インバウンドとは「中に入ってくる」という意味で、ここでは海外から日本を訪れることを表しています。インバウンドビジネスとは、日本を訪れる外国人をターゲットとするビジネスや、それに付随するもののことを指します。
インバウンドビジネスは多岐に渡ります。わかりやすい例には、ホテル業界や百貨店などの小売業界があります。ホテル不足や爆買いなど、インバウンドに関する言葉がニュースになることは過去にもたくさんありました。
しかし、インバウンドビジネスはそういったものだけではなく、IT業界などにも大きなチャンスをもたらしています。ITとインバウンドビジネスには大きなつながりがないように思えるかもしれませんが、訪日外国人の多くは日本に関する情報をインターネットで得ています。また、街中でネットにアクセスできるWi-Fiも、インバウンドビジネスには欠かせないもののひとつです。このように、情報や通信インフラもインバウンドビジネスのチャンスとなりえます。
2020年のオリンピック後が終わればインバウンドも終わる?
インバウンドビジネスについて話すときによく聞かれることとは「インバウンドビジネスのピークは2020年の東京オリンピックまで」というものなのではないでしょうか。2020年を境にインバウンドの需要が減れば、今からビジネスを展開していっても無駄だという考えも頷けますが、そもそも本当に2020年以降に訪日外国人の数は減っていくのでしょうか。
過去に開催されたオリンピック都市のインバウンドの数字を見ていくと、必ずしもオリンピック開催後に減少するということはないとわかります。むしろ長いスパンで見ていくと、どの都市も右肩上がりにインバウンドの数は増加していっています。2012年にオリンピックが開催されたロンドンの例では、2011年の時点で3000万人弱だった観光客は、2014年の段階では3300万人ほどに伸びています。2008年の北京を見ても、2008年で5200万人ほどのインバウンドが2014年には5500万人くらいとなり緩やかにですが増加しています。アテネやシドニーなどを見てもこの傾向は同じです。
これらの事実から考えると、インバウンド市場はオリンピック後に減少するどころか拡大していくことが予想されます。オリンピックは世界に対して大規模な広告となるため、オリンピック後も世界中の人たちに、その都市や国の印象を強く植え付けることができるからでしょう。
今後のインバウンドビジネスに求められる戦略とは
インバウンドビジネスといっても、やみくもに行っていたのでは大きな成果を得るのは難しいでしょう。きちんとした戦略のもとに、今後のインバウンドビジネスの展開について考えていく必要があります。
まず大切なことは「外国人のニーズを理解すること」です。外国人が考える日本には、忍者や侍などの過去のイメージ、お茶や桜などの食べ物、アニメやサブカルチャーなどの現代的な文化など、ある種の偏った傾向があります。これらのことを踏まえつつ、グローバル戦略の一環としてブランド力を高めたり、商品企画やマーケティング、製造、物流などを行ったりすることが大切です。今日のグローバル化した社会のなかで、どう自社の価値を最適化させるかを考えることが求められます。
インバウンド集客を意識しホームページを多言語化しよう!
インバウンドビジネスは、訪日外国人が増加傾向にある時期には特に意識せざるをえないものとなります。インバウンド集客を初期段階で出遅れると、その後の集客に手間取ることは想像に難くありません。
インバウンドを引きつける方法として有効的なやり方は、まず自社のwebサイトを多言語化することです。すでに述べたように、多くの訪日外国人は日本についての情報をインターネットから得ています。webサイトが日本語だけしかない場合は、自社のサイトを彼らに訪問させることは大変難しいと言えます。あなた自身が海外のwebサイトを訪問して日本語のページを見つけたとき、安心感や信頼感を覚えた経験があるかもしれません。
そのため、インバウンド集客を意識したサイト作りは英語のページを設けるだけではなく、できるだけ多言語でページを作ることが大切です。言語数を増やすだけで、きっと同業他社との差を大きくつけられることでしょう。
インバウンドビジネスは、グローバル化した今日、ますます重要な役割を担っています。人の行き来が容易になった分だけ、今後はいかにニーズにあったビジネスや情報を提供できるが大きな課題です。ビジネスで2番手にならないためにも、できるだけ早くインバウンドを意識したビジネス戦略を練っていきましょう。