銀座で86周年を迎える「履き心地」にこだわった靴
自社のオリジナル商品を中心に国内外からセレクトした靴・バックなどを扱っており、メイドインジャパンの強みとして「履き心地」にこだわっています。 パンプスを辛いと思いながら履いてもらいたくない。ファッション性と履き心地の融合を追求し続けてきました。
「ワシントン靴店」という社名の由来ですが、創業者が学身渡米しオレゴン州・ポートランドに食料品店を出店し、店名を街区の名前“WASHINGTON”にちなんで「ワシントングローセリー」としました。これが帰国後の1933年、銀座創業した「ワシントン靴店」の由来となっています。 今年で86周年を迎え、現在、関東中心に22店舗、関西に3店舗出店しています。
インバウンドが来店し購入。リピーター化させることが重要。
ここ数年のインバウンド需要の高まりもさることながら、実際に訪日されたお客様からWEBでも購入したいとご要望をいただいたのが、多言語化をするきっかけとなりました。
靴という商品はリピートいただくことが最も重要な商品です。 しかし、これまでは訪日されたお客様に商品を気に入っていただいても、次に購入いただけるのは再来日された時でした。実にもったいないと。 今回ECサイトを多言語化することで、帰国後も継続して購入いただける環境を作り、2020年を前に海外のお客様をファン化する第一歩に繋げました。
自国に帰った後も継続して購入いただけるようECサイトを多言語化
ECサイト自体は2000年から運営していて、2019年2月にリニューアルしたばかり。その直後である6月のタイミングでWOVN.ioも導入しました。
WOVN.ioを知ったのは「サイト・翻訳」などで検索したのがきっかけです。 例えば大手婦人靴メーカーでは1からグローバルサイトを立ち上げて運用しているところもあります。しかし、初期開発費用や運用コストを考えると、弊社にはもう1個サイトを作るという選択肢はなかったですね。採算だけが全てではないですが、そういった意味では会社の決済はおりなかったと思います。 サイトの性質上、日々ページが増減しますし、少人数で運営しています。そういった意味では多言語ページの更新にほぼ手間を必要としないWOVN.ioには非常に助けられています。 逆にいうとWOVN.ioがなかったらサイトの多言語化は叶わなかったと思います。
まずは専門用語をリストアップして、プロ翻訳者の方に用語集を作ってもらいました。プレーントゥとかソールとか、靴の専門用語200アイテムぐらいですね。この用語集を踏まえて自動翻訳をかけるので、名詞の誤訳が防げます。
システムの技術的な部分はWEB製作会社に入ってもらいましたが、WOVN.ioと両社でリレーションを取ってスケジュールを進めていただけたので、自社での作業負担はほぼありませんでした。
実店舗とECを繋ぐハブとなる多言語コンテンツ
まず多言語化して一番良かった点は、実店舗を含め社内の意識が高まったことです。 社内にはどこか「うちが多言語対応?」という空気があったのですが、WOVN.ioで実際に多言語ページを公開することで、2020年に向けての意思統一ができたかな、と。
実店舗には元々海外からのお客様に多数ご来店いただいているので、多言語化されたWEBページは接客ツールとして商品説明などに利用できますよね。
あとWOVN.ioにご提案いただいたのがショップカード! リアルとWEBをうまく循環する施策として、店舗でご購入いただいた際にお配りするんですが、お客様自身の日本でのサイズと、購入商品Noを書けるようにして、捨てられないように素材も和紙で製作しました。 特に銀座地区と大阪はインバウンドが多いので、そこの店舗から試験的に始めたいと思っています。
あとNFCのアイディアも貰っていまして、来店されたお客様がスマホをかざすだけでECサイトに飛ぶような仕組みも試したいですね。
(新たに制作した外国人のお客様向けショップカード)
海外リピーター昨年比150%!ユーザーがサイトを見ている実感
WOVN.ioの導入前と比べるとリピーターは、台湾・香港圏の繁体字が157%、韓国語は150%で増えています。あとは海外アクセスはほぼ直帰だったものが、改善してきていますね。 非常に面白いことに、今までほとんどアクセスのなかったタイ人ユーザーが作比895%。これは予想外の反応でした(笑)。
外国人の方が複数ページを遷移していたり、特定の商品が見られていたり、多言語化してから、海外ユーザーがサイトを見ている実感がありますね。
(店舗施策について打合せをする石嶺さん(左)とWOVN.io阿部(右))
WEBと実店舗でうまく連携できていないケースって多々あると思います。ECサイトにおいても、実店舗においても、海外のお客様が購入しやすい環境を整え、さらに集客を強化する必要があります。
例えば、海外のお客様にとっても「Lサイズ」が魅力的なことがわかってきました。Lサイズを推したLPを作ってもいいかもしれません。商品のクオリティは高いと自負していますので、あとは弊社ブランドのこだわりや強みをPRしていくフェーズですね。
ジャパンクオリティを体現する靴専門店として、世界中の方にもっともっと自社の靴を履いていただきたい。多言語化をきっかけにオンライン・オフラインの隔たりがなくなり、全社単位で海外のお客様のリピーター化を狙っていきたいと思います。
(取材:2019年8月)