SHIBUYA109にしかできないECを求め、AMSとタッグを組んだ
サイトリニューアルの経緯を教えていただけますか?
SHIBUYA109澤邊:2016年の10月に今のモール型サイトにリニューアルしたのですが、長期プロジェクトとして計画していました。実は2004年からEC事業をやってきてはいたのですが、分岐点に来ていて、EC事業の今後をどうすべきかという経営陣からのミッションがありました。
SHIBUYA109内藤:2004年はECなんてまだどこもやっていません。ガラケーの時代ですよね。地方の方も買いたいという要望があったので、情報サイトとして役割が大きかったのですが、早いタイミングでスタートしました。
SHIBUYA109澤邊:「ECなんて難しいんじゃないか?」という検討も含めてプロジェクトを開始し、「他ではできない、SHIBUYA109だからできることはなんだろう」を考えた時に、ECの可能性はまだまだあると思いました。
AMSさんを選定された理由は何ですか?
SHIBUYA109澤邊:AMSさんはSHIBUYA109でも扱っているブランドの自社サイトも運営されていますし、広範なノウハウもあり、業界の流れや情報を瞬時にキャッチアップされているので、ECに対する知見をお借りしたいと思いました。 全体戦略からステップ・組立てまで提案いただいています。
サイト多言語化は、やらなければいけない最低限のインフラ整備
サイトの多言語化は何故されたんですか?
SHIBUYA109澤邊:現状、外国人にも多く来ていただいているので、最低限必要な、免税・クレジットカード・WiFiなどの環境インフラは整備を進めています。サイトの多言語化もその1つですね。
SHIBUYA109内藤:リニューアル前は外国語対応していなくて、課題としてはあったのですが、そこにコストをかけられなかったんです。今回のリニューアルではWEBを見てから来る外国人も多いので、「多言語化は絶対必要だよね」という話になりました。
WOVN.ioでイニシャルの1,000万円が大幅に
多言語化でWOVN.ioに決めた理由はなんですか?
AMS猪首:実はSHIBUYA109さん側でも多言語サービスを何社か調べていて、相談をもらっていました。ただ他社ツールだと導入が複雑で開発コストがどうしてもかかる。WOVN.ioならコストも安いし、導入も簡単にできます。フロント表現どうしようか、というのもWOVN.ioなら細かく対応できたので助かりました。例えば「このブランドは翻訳しちゃだめ」とかもあったので。
もしWOVN.ioを使わないとしたら、英語版を別ファイルの別環境で作るしかないですが、海外売上げを考えると、そこの投資をしてまで作るのは非現実的ですね。見積りはイニシャルで1,000万円以上かかるし、運用も専任メンバーがチームを作らなければならないので大変です。ましてや、英語・中国語(繁体・簡体)・韓国語の4つを、それぞれ1つずつ作っていく作業になります。クライアントさんに費用提示したら、やりませんってなりますよね。WOVN.ioなら初期費用ほぼかけることなく月額利用料も低価格、これならやりましょう!となりますよ。
SHIBUYA109内藤:細かい部分ですが、ユーザーの9割以上はスマホで見るのでスマホの言語切り替えをカスタマイズできるのは必須機能でしたね。WOVN.ioはちゃんと対応していました。
(109のサイトを見ながら説明する内藤さん)
サイトとWOVN.ioの連携は5分で完了
実際WOVN.ioの導入はいかがでしたか?
AMS猪首:連携は5分で終わりました。(笑)本当にタグの挿入だけだったので簡単です。どちらかというと、その後のデザイン調整に時間をかけました。言語切替時に翻訳の注意アナウンスを1枚かませたり、辞書設定とかブランド名の登録とか。実装よりも管理画面での設定を丁寧にやりましたね。
膨大な商品ページも、直せば直すほど頭が良くなる機械翻訳で楽々対応
翻訳反映はどのようにやられましたか?
AMS猪首:全ページ人力翻訳は非現実的です。10万とは言いませんが、何万という商品点数なので。ニューラルネットワーク(人間の脳と同じように学習するAI)の機械翻訳を活用しています。また、機械翻訳の内容の修正も行えるし、さらには、WOVNメモリ機能により、それがナレッジとして貯まっていくんですよね。次回同じ文言が出てきた時には、機械学習により修正後の翻訳が反映されるので便利です。 SHIBUYA109のサイトでは外国語ページに切り替える際に、念の為「こちらは機械翻訳です。オリジナルの日本語ページと同じではない場合がございますのでご注意ください。」と翻訳についての注意書きを1ページ出すようにしています。
日々追加される商品情報も、自動で翻訳・公開
更新作業に変化はありましたか?
AMS猪首:機械翻訳結果の気になった部分はAMS側で修正入れますが、自動的に日本語の新しいコンテンツを翻訳・公開までしてくれるのでほぼノータッチで完結します。本来ならば新商品が追加されたら、外国ページもそれぞれアップが必要で、恐ろしく手間がかかりますね。
SHIBUYA109澤邊:SHIBUYA109(香港・ハーバーシティ店)の運営チームから中国語ページの翻訳修正依頼が入っているので、ライブ編集機能を使っていきたいですね。これならエンジニアの手を借りずに、サイトの見た目のまま簡単に修正できますし。各運営チームに管理画面を渡して全部お願いしちゃいます。
月額制でPV課金なし、ECにはもってこいの料金体系
WOVN.ioの料金体系はいかがでしょうか?
AMS猪首:中長期で見たときにコストはやはり大事です。翻訳したからといってすぐに結果が出るわけではないので、継続的に使う場合にはコストは抑えられてサービスレベルは満足できるものを選択しなければいけません。WOVN.ioなら初期費用なしですし、月額も相当安価です。しかも料金変動なしでどんどんバージョンアップしていくんですよ。
あと、PV課金がないのも嬉しいです。あったりするところもあるので。サイトが大きいと海外の人が見ていなくてもPV課金で料金だけが嵩んでしまいます。例えば1,000万PVで月額100万円だと現実的なコストじゃなくなってしまいますよ。ECに使える多言語化ツールは他にないかもしれませんね。
SHIBUYA109内藤:コストが変動的だと予算組みにくいので、PV課金がないのはいいですね。うちのサイトはアクセス数でいうと、1位日本、2位アメリカ、3位香港・台湾・韓国となっていて、海外の比率も高い方だと思います。
外国人がサイト内を回遊するようになった。また店頭のオペレーションツールとしても活用
WOVN.ioを導入して実際の効果はいかがでしょうか?
AMS猪首:数字でいうと、サイトの直帰率が半分以下になりました。昔は40、50%ぐらいあったのですが、WOVN.io導入後10~20%にまで減りました。海外の方がサイトにくると、デフォルトでブラウザの言語設定と同じ言語ページを出しているからでしょうね。ファーストビューが自分の読める言語ページなので読んでくれている。
SHIBUYA109澤邊:ショップの方が接客の際に商品説明を外国語でするのは難しい。そんな時、ECサイトでは商品情報まで翻訳できているので、素材の説明などのツールとして使ってもらっています。今後タブレット端末を全店で導入するので、多言語化されたサイトを見せて外国人に接客ができます。実際スマホを使って案内している店舗もありますね。
(ショップスタッフなど渋谷女子たちの魅力がつまった、人気コンテンツの「FLAGSHIP GIRLS」も多言語で展開)
サポートの的確なアドバイスとスピーディーな対応に感激
「WOVNパートナーズ」のプログラム内容はいかがでしょうか?
AMS猪首:サポートのスピード感には感激です。経験豊富なサポートメンバーがWOVN.ioを使いこなしているからこその、迅速で的確なアドバイスをいただけますね。使いこなしているからこそのご提案もいただけるので助かっています。
海外SEOにも対応し、日本の流行の中心として国内外でファンを増やしていく
109さん、AMSさんが考える、これからの「多言語化」展望を聞かせてください。
SHIBUYA109澤邊:店舗によっては月の売上の半分がインバウンドのお客さんだったりします。外国人向けに何か施策を打っているわけではなく、「“109”は面白い場所だから自然に人が集まる」イメージです。SHIBUYA109としては「日本で若者の流行を発信する中心ビルである」ということを磨いていくことが、結果的に外国人も引き寄せることになるのだと思います。 そういった中で多言語対応、海外への商品発送は当たり前になってくると思うので、こちらからのアプローチも含めて色々挑戦したいですね。
SHIBUYA109内藤:やはり越境ECが一番大きいところです。直接の海外発送もできるようにしていきたいです。WOVN.ioのライブラリ機能での検索インデックスもすぐに試したいですね。
AMS猪首: EC業界も国内だけだと限界がきていると思っています。マーケットを広げていく中で、100本ノックと同じく色々トライアルしていきたいです。海外の検索対応も次のフェーズで実行します。ライブラリ方式は追加費用など一切かからないですしね。試さなきゃ損です。
(取材:2017年8月)